貧しい生まれながらも福沢諭吉の婿養子となった福沢桃介、壱岐の大商人の跡取りだった松永安左ェ門の二人は株式相場や虚業に手を染めながらも、その資金で電力事業を軌道に乗せ、大きな影響を持つに至る。
時局が戦時体制に移りゆく中でも二人は自由主義経済を訴え、自らの信念を貫き通した福沢と松永の生涯を追って行きます。

今だと電力会社というのは巨大な企業ですが、その草創期には全国各地市町どころか川一筋に一社という形で200近い電力会社があったそうです。

松永安左エ門という人に興味を持ったのは、小田原市板橋にある松永記念館で野点があるという企画に足を運んだ際に、松永さんの展示もあったのでそれを見ていましたら、恵まれた生まれにも関わらず浮き沈みが激しい波乱万丈な生涯に関心を持ったのがきっかけです。

そして福澤桃介という人。コネを使ってヴェンチャー企業を成功させ、株式市場で巨万の富を掴み、美しい女性と共に居る、といった、今だったらとんでもなく妬まれ叩かれそうな人ですが、コツコツ頑張っている人には気付かないような着眼点や発想、行動力には目を見張るものがあります。

二人とも「カネこそ全て」という行動力だったのが、やがて電力事業という社会インフラを支える公益的な視点へと変わっていくのが面白いと思います。

街道ネタとしては中山道の妻籠や南木曽に掛けての木曽川に設けられた、桃介さんが手掛けた発電所とその蓋設備の数々や、桃介さんのパートナーであった川上貞奴が建立した犬山の貞照寺、そして二人が共に暮らした名古屋市撞木にある双葉館でしょうか。

 

いわゆる「坂の上の雲」に辿りついた日本が新たなステージへと向かう渦中を代表する二人であったろうと思います。

「産業史・電力事業・大正時代・戦後復興」に関心がある方にオススメ。

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karuno
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 「地域を識る事で、地域を楽しく。」をコンセプトに、歴史をテーマにした講座、デザイン、旅の企画を行っています。
 日本神話から戦後史まで、特定の地域から世界史まで幅広く取り上げるほか、歴史の転換点にあった経済・社会現象なども含めた視点で取り上げます。
 一つのテーマ・人物・出来事に焦点を当てた講座の中には、当方しか扱っていない内容も。
 忘れられているけれど、忘れてはならないヒト・モノ・コトを求めて歩きまわっています。